人間では太刀打ちすることができない、強大な力を持つ存在―『竜』。
尾の一振りはすべてを薙ぎ払い、翼の羽撃きであらゆるものを吹き飛ばす。
屈強な兵士の大軍が束になっても、竜を止めることはできなかった。
たった1人のある英雄を除いては。
その男は王となり、あえて竜の住み着く山の傍に国を興した。
竜の力の影響があるからこそ、どのような国にも侵攻されない、
平和な国、ヴィルディルン。
たった1つの脅威は―他国への抑止力である竜そのものだった。
気まぐれを起こしたかのように現れ、暴れる竜。
その脅威から民を守るため、初代の王が創設した騎士団が存在した。
竜と戦う騎士―‘竜騎士’と呼ばれるその騎士たちは、
初代国王亡き後も、変わらず国家を守っていた。
騎士が束となっても竜を倒すことはできない。
しかし、命を賭す事で脅威から人々を護ることはできる。
そうやって、竜騎士のいる国は栄えてきた。
ヴィルディルンの建国から時は流れ、
一人の青年が国を訪れる。
彼は、まだ知らない。
自身の行く先に、‘竜騎士’と呼ばれる少女たちとの邂逅があることを。
そして、竜に脅かされる国が、どのように変わっていくのかを―