
あなたは目覚めると手術台に拘束されていた。
人類は、圧倒的な科学力を持つ外宇宙文明にあっけなく滅ぼされていたのだ。
脳内に響く女の声。
『今から、あなたの身体を少しずつ部位ごとに切り刻んで、機械のパーツに置き換えて段階的に最適化します。
あなたたちの分類では、アンドロイド化手術といった方がわかりやすいでしょうか?
……あぁ、安心してください。麻酔は使いませんよ。
なぜか、と? 理由は単純です。あなたが、あなたであり続けるためですよ。
テセウスの船という思考実験をご存知ですか? 古くなった部品をすべて取り替えた船は、果たして元の船と同じと言えるのか。もし私が、麻酔であなたの意識を断絶させている間に全てを機械に置き換えたら……目が覚めたとき、そこにいるのは『あなた』ではなく、単にあなたの記憶をコピーしただけの無機物かもしれない。
あなたの意識が途切れず、この激痛と、自分の身体が自分のものでなくなっていく実感を一秒一秒、記憶に刻み続けること。その連続性があって初めて、完成した個体の中に、あなたの自我が残留できるのです。
さあ、始めましょう。
生命の尊厳はここで解体され、より高次の形へと昇華されます』
