今からほんのちょっと前の時代。
都市部では、のちの情報化社会へ向けた発展が着々と
進んでいた反面、山間部では未だ開発の波が届かず、
昔ながらの雰囲気を保ったままの場所も多く存在した。
そんな山村集落の一つ『晶生(あきお)村』に、
どういうわけだか未来からやって来てしまった
主人公・千種由嗣(ちぐさよしつぐ)。
シビアな競争社会である未来において、彼はいわゆる
落ちこぼれのレッテルを貼られていた。
優秀な人間にしか許されない過去渡航など、本来できる身分ではない。
なのに、どうして過去へ来てしまったのか。
混乱して夜の山中を彷徨ううち、まるで蛍に導かれるようにして
出会った少女・初姫(はつひめ)いろはに保護された由嗣は、
特別に滞在が許され、しばらく晶生村での生活を送ることとなる。
そこで彼を待っていたのは、自分の暮らしていた時代とは違う、
のんびりとした時間の流れ方。いろはを始め、彼とは違って正規に
この時代へ訪れた未来人姉妹・蛍塚(ほたるづか)アリカとユノ、
そして村長の娘・久万里寿(くまりことぶき)といった
少女たちとの交流を重ねるうち、由嗣はやがて今までにない
癒しと予感を覚えはじめる。
この時代に来てしまったのは幸運だったんじゃないだろうか。
ここでなら、自分も何かできるんじゃないだろうか。
例えば、女の子と恋をすることも――
ここからはじまる夏の恋物語。
なにもかもが未経験だからこそ、知ってしまえばどこまでも。