「つまり先輩は、ワルになりきれてないってことですよ。
まるで、弱い自分を隠そうとしているみたい」
俺にしつこく付き纏ってくる後輩風紀委員の”花塚蒼”は、どこか嗜虐的な笑みを浮かべながらそう言い切った。
校内で札付きの不良である俺に、こんな風に遠慮ない物言いができるのはこいつくらいのものだ。
……舐められているのか?
俺を中途半端だと嗤ったな……?
いいや、そんなはずはない。俺は弱くない、中途半端などではない。
誰にも支配されない、ゆえに自由、ゆえに不良。
だからこそ、それは必然だったのかもしれない。
「だから言ったじゃないですか。取り返しのつかない事態になるって♪」
よってすべてが壊される。
安いプライドも、薄っぺらな自尊心も、すべて……そう、すべて。
飴のようにドロドロに溶かされていく。
「ね、だから先輩? このまま私に屈服しちゃってください♪」
「女の子にくすぐり犯されて、負けちゃえ♪」
――もはや、逃げ場は、どこにもない。