『この閉じた場所ではなく、世界の全てに行きたい』
500年ほど過去、地球に5つの隕石が近づき、五大流星雨(5thスターレイン)と呼ばれる大災害が発生し、辛い冬の時代が訪れた。
人類は地下や海底、または地表に造られたアーコロジーと呼ばれる建造物へと移住し、地球の環境が再生する日を待ち続けていた。
――外は人の住めぬ不毛の地。
平和な箱庭であるアーコロジーに住む人々は、外への興味を失っていき、いつか帰る場所という意識を徐々に無くしその自分の住む世界のみを見るようになっていった。
舞台はアーコロジー『アクアリウス』
かつて国際中立研究機関として建造された人工島は、人々を収容するアーコロジーとして姿を変え、そして500年の年月を経て全く違う形へと変貌していた。
中央と外周。富を持つ者と貧しい者。多くの意味で二極化した社会がそこにはあった。
そこに住む青年、竜胆蒼司は貧しい者の住む外周区で生まれ育った孤児であった。彼はその孤児院で恩師である青色をした女性と出会った。彼女は博識で蒼司に多くの事を教えてくれたが、しかし彼女は蒼司とその姉を救い姿を消してしまった。
その女性を救えなかった蒼司は、それから力を求めるようになる。弱い子供の自分が許せず、この街で通用する力を。
力を求め続ける蒼司は、それが正しいと信じて居た。
そんな蒼司の前に、消えてしまった彼女にそっくりの少女が現れる。
――アズライト。
10年近く前に消えたままの姿、そして同じ名前の少女が。
貴族と犯罪結社、中央と外周、過去と現在。
二重構造の箱庭の中で力を求める少年に訪れた出会い。
この日を境に、歪みを抱えたアクアリウスは終わりを始めていく――。