彼を見かけたあの日、私は神楽として、彼を監禁しようと決意した。
決意したというよりも、気づいたら、部屋まで連れてきていた。
いつか、その日の為に作っておいたこの部屋に…
この部屋は、自宅の地下にある。
幸運にも、この歳にして自宅を構えることができたのだからと、
いつか来るかもしれない日の為に、この地下室を作ったのだ。
高性能な電子錠、完全防音の環境。
お金を積めば、そんなものいくらでも作ることが出来る。
だがしかし、かねてより思いを秘めていた、
「男性を監禁したい」という思い、そして、
「監禁下で性的な感情は芽生えるのか」という純粋な関心。
この二点については、どんなにお金を積んでも無理な願いだった。
だから、私が用意するしかない。
そう思っていたのは、二十歳そこそこの頃だった。
だが、そう簡単に逸材は見つかるはずがなかった。
私が支配しても良いと思える事、そして、
本当は心の何処かに、支配される事を望んでいる事。
その二つがなければ、私の願いを叶える事は出来ないと考えていた。
いつの間にか、月日は流れ、あの日がやってきた。
彼だ。
初めて見る顔だが、何故だか私には分かった。
「彼は支配されたがってる」と。
直感でそう感じた私は、気づいたら、彼へ行動を起こしていた。