【マゾしこボイス×下品オホ声×マゾ顔オナサポ】性春期マゾヒスト症候群

プロローグ
 とある学校、演劇部音響係の僕は、ごくごく平凡な男だ。だが誰にも言えない秘密がある。そう、思春期にのみ現れる「性春期マゾヒスト症候群」を発症したのだ。
 引き金はひぐらしも鳴きやむはずの蒸し暑いあの日。僕は演劇には欠かせない環境音を録音するために、実習室Iを放課後借りていた。はずなのだが、先に、同じ演劇部の「白津まゆ」と「朝露とわ」が実習室の鍵を取りに来たらしい。あの2人か、僕は少し溜息をして実習室へむかう。苦手ではない。むしろ白露まゆに至っては、僕の脳内の7割を占めていると言っても差し支えない。演劇部でもひと際目立つ容姿、感情豊かな演技、彼女が指先を見つめれば指先を見るし、天を仰げば空を見上げる。きっと僕とは細胞の何から何まで違うのだろうとさえ思う。ただ、朝露とわについてはわからない。いや、実は誰も本当のところは知らないといったほうが正しい。というのも、わが校は多様性を重んじる校風であり、彼?彼女?はある時は女性用の制服を着るし、ある時は男性用の制服を着る。顔立ちもとても中性的で美しく、同じ歳とは思えないほど妖艶でとわの一挙手一投足に皆が息をのむことを忘れる。ルッキズム社会の象徴。とまぁ、お似合いの二人というわけだ。だから僕の脳内の7割とあと2割を「白津まゆ」と「朝露とわ」に割かれている。と、夏の終わりの分厚い雲をガラス越しに眺め歩きながら実習室に到着する。引戸が少し空いている……2人の声がする…正確には、
 ここからでも2人のべっとりした吐息が僕の耳にこびりついて…鼓動が早くなり…鼻腔が膨らみ…瞳孔が開く…性行為。ただ、朝露とわのスカートが男の尊厳ともいえる部分が隠れていて、子作りを行う行為かは定かではない。ドアを境界にして、妖艶で美しく歪な世界。焦がれる。喉が焼けそうだ。脳がジリジリと焼けていくのがわかる。あぁ、僕もあんなふうになりたい。………あっ。「朝露とわ」と目があった。朝霧とわは一瞬、驚いたような表情をみせたが、すぐさま、にやぁっと僕のことを嘲笑うかのように見つめ、行為を止めなかった。僕はその夜、5回自慰をした。
 朝。僕は下半身を放り出したまま眠りについていた。眠気眼でLINEを確認する。
「朝露とわ」からだ。「        」。どうやら、僕の下半身は壊れたらしい。

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