「それが、あなたの個性でしょう? あなたはあなた。
あなたには、みんなと違うものがあるはずですから」
その一言が、一人のおちこぼれ陰陽師の人生を変えた。
時は平安――。
京の都に、一人のおちこぼれ陰陽師がいた。
彼の名は、芦屋道満。
おちこぼれだった道満は、必死の努力で這いあがり、
その言葉をくれた女性・藤原道長を守るために生きることを誓った。
「お前には生きている価値すらない。
私にとってだけでなく、世界にとって、道長さまにとって、
時代にとって、お前は邪魔なだけの存在よ」
その一言が、一人のおちこぼれ陰陽師の運命を変えた。
人を人とも思わぬ発言を繰り出したのは、天才と名高きその少女。
立ちはだかったのは、陰陽師・安倍晴明。
おちこぼれが必死の努力で得たものは、
すべて、天才の手によって奪われた。
道長の隣。
彼のいたその場所には、百合の花が咲いていた。
まあつまり、女に女を取られた男の、マヌケな図である。
おちこぼれ陰陽師は、ついうっかり天才にケンカを売ってしまった。
しかし、しょせんおちこぼれvs天才。
あっさり敗れ去るのである。
「ムリだ! 勝てるわけがない!!」
さらに、道長暗殺容疑の濡れ衣を着せられ、都から追放処分となる。
道満は、こました道長の従妹・顕光と共に、平安京を出た。
絶対に、晴明にギャフンと言わせなければ気が済まない!
腹は決まった!
まずは、晴明を守る陰陽師軍団を突破出来るだけの、軍事力の獲得!
こうして、戦の幕が開いたのである――。
「晴明め、許んぞ! 絶対に……犯してやるっ!!」
彼こそ、かなう者なき最強の軍団を相手に、
悪知恵と口車で立ち回ることとなる、
陰陽師史上『最弱』の男である――!!