小さな地方都市に伝わる、隠れ里の伝説。
自分たちが暮らす街に残る古い伝承を調べるため、
主人公・八雲一樹(やくも・いつき)は、部活仲間の少女たちと、噂の山に足を踏み入れる。
それはどこにでもある、青春の一ページ的な小旅行……の、はずだった。
「……ここは、どこだ?」
気がつくと、一樹たちは見知らぬ場所にいた。
薄霧の中に建つ朽ちた家屋。時が止まったように澱んだ空気。
自分たち以外に人の気配はないが、あちこちに暮らしの痕跡が残っている。
そこは人々に捨てられた、山奥の小さな廃村……伝説の隠れ里『姫香村(ひめよしむら)』。
いったいどうやってたどり着いたのか誰も覚えておらず、
さらには村から出ようとしても、霧にまかれていつの間にか戻ってきてしまう。
自分たちが得体の知れない『何か』に閉じ込められている気配を感じつつ、
出られる時を信じて、一樹たちは村でのサバイバル生活を始める。
しかしその日から、一樹は村の中で淫らな行為に耽る少女たちの姿を見るようになる。
蕩けるような甘い香りが満ちる廃村に響く、見知った少女の濡れた嬌声。
一樹もまた、彼女たちを●す淫夢を見て、自分の中に黒いものが染み込むような感覚を覚える。
「ここは‘‘かごのさと’’。主様は迎えられた客人にございますれば……どうか、よく考えてお選びください」
異変に戸惑う一樹の前に現れた少女、籠女(かごめ)。
彼女は、村から出るには一人、人柱となって残る者を選ばなければならないと言う。
仲間の犠牲など受け入れられない一樹は、脱出の手がかりを求めて、廃村を調べていく。
一樹たちの運命は、淫らな力の支配する廃村からの脱出か、それとも……?
その郷(さと)は、悦びに溢れる楽園か、情と欲に縛られた牢獄か――――