搾精日直(1)ランシとダンシとセイシとジョシと~椋のばあい~

※本作は『搾精日直シリーズ』の第一弾となっております。
 今後も同じ世界観を通し、毎回違う相手で6~7作目あたりで完結を目指します。
 完結後に全作まとめた総集編を発売予定ですが、総集編で特別なおまけを入れる予定はありません。
 基本的には順を追って購買いただいた層に損の出ない流れを組みたいと思い進めてまいります。

~あらすじ~
とある学園に通う1年生の男の子(聴き手)

両親を交通事故で亡くした彼は親戚に身元を引き受けられ、
想い出の残る実家を離れ、従姉の住むマンションでなんとか生活を続けていました。

転園先に少なからず馴染み、周りも同情してくれて
だんだんと今の生活にも慣れてきた頃、一人きりの帰り道
ふと、いつもと違う道を歩いてみようと考え立ちます。

最短ルートをひとつずれるだけで違う表情を見せる街
――そんな中、ひとつの古ぼけた骨董屋が目に入りました。

なんとなく気になって入ると、古風独特の空気がむせる
しかし不愉快というわけではなく、目の前に広がったのはノスタルジィ
知らないのにしっている……見たことがないはずなのにみたことがあるような。

異空間を漂うように足を踏み出し、店内をゆったりと見渡す。

そして、ひとつのアイテムに手が伸びました
小さな鏡で意匠が凝っており、またこれもなんとなくイイなと感じて

するとその瞬間、いつからいたのか、店主らしき老婆が声をかけてきました。

「ヒョッヒョ、なかなかお目が高いねぇ
 それはね、あんたを不思議な世界へと連れていってくれる代物さ
 ほい、お代は300万両也。イイモンだからね、一銭もまからんぞい」

ついていた値札の300円を払い店を出て
迷子にならないよう道を正し、家路につく。

いつもと同じようで少しの冒険
小さな世界をちょっとだけ広げた高揚感と共に。

しかし言われていたようなことはなにもなく
当たり前のようにただ、いつもと同じ夜が過ぎる。

――しかし次の日、見知ったはずの世界はよくわからないことになっていた。

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