桜も散った4月の終わり。
近くに海を望む、静かな街の小さな学園から物語は始まる。
食事中でさえビデオカメラを回す、カメラバカな青年『梁瀬 旭』。
彼は「人を笑顔にする作品を撮る」ため、
世話好きの幼馴染み『芳永 千穂』と一緒に、
動画撮影同好会――通称『動好会』を立ち上げようとしていた。
だが、旭の古巣である映研に所属する、若き天才監督『白澤 美悠紀』が大反対。
学園説明会でコンペを行い、映研に勝利したら動好会を認めると条件を出される。
メンバー集めに奔走する旭だったが、人は集まらず、期日も迫り、途方に暮れる。
そんな時、愛用のビデオカメラから不思議な光が溢れ、小柄な少女が姿を現した。
「ワタシはカメラの精霊です。ご主人さまに加護を与えましょう――」
のんびり屋なカメラの精霊『ヒトミ』。
不登校を続ける動画編集のプロ『御厨 乃梨』。
彼女達との新しい出会いによって、旭を取り巻く環境は大きく変わっていく。
ボク達は、何のためにモノを創るのだろう。
ボク達は、どうして人を好きになるのだろう。
ボク達は、なぜ『あそこ』にいたのだろう……。
悩んで、怒って、笑って、泣いて。
ありふれた青春を送りながら、
少年と少女は己の心と向き合い、少しずつ前へ進んでいく――