数年前、魔物の頂点に君臨する魔王が
一人の勇者によって倒された。
世界に平和が訪れた。人々は誰しもそう思ったが
魔王を失っても尚、魔物の残党は人間を襲うことを
やめなかった。
魔王がいなくなり、世界は勇者を
必要としなくなったはずなのに
この世界には「勇者」が溢れ返っていた…
そのほとんどは人々を助けたいから魔物と戦うのではなく
金のために依頼を受ける者ばかり。
僕が子供の頃から憧れていた勇者とは違う。
勇者は見返りなんて求めずに人々の笑顔のために戦うんだ。
…そして僕も「勇者」になった。
目指すのは人々の笑顔を守れる勇者。
魔王を倒したあの人のような。
ただ問題が一つ…僕は非力で小柄で、弱かった。