高校の同窓会に出席したあなた。
帰り道で、当時同じ美術部に所属していた「空原遥」に、車で送ってもらう事になる。
ボロい軽自動車の中、彼女と交わすのは近況報告と思い出話。
…あなたと彼女は。
当時イラストレーターを目指していた。
…あなたと彼女は。
同窓会が訪れてなお、何も成果を出せていなかった。
…だからあなたと彼女は。
ただ、ひたすらに愛想笑いをしていた。
ふと車が停まる。
見えるのは仰々しい鳥居。
なんでもそこは、彼女が昔よくお参りしていた神社なのだとか。
「久々にお参りしていこっかな。」
とてとてと、いい大人が二人、神様に手を合わせる。
こうしているとまるで、あの頃に戻ったかのようだ。
―――ああ。戻りたいなぁ。
もう一度やり直せるなら、まだ。
まだ僕たちは。
描いていられるのに。