目の前に魔物があらわれた。
逃げ惑う人々。潰される人々。
それをあなたはただ、傍観している。
逃げるほど、生に執着出来ないから。
ただ、見ている。
そんなあなたの前に、「羽代瑠璃」と言う少女が降り立った。
彼女は天使で……魔物と戦う存在なんだとか。
光輪と翼、神秘的な力…。
華々しい奇跡を携えて、彼女は魔物へと立ち向かう。
でも。
あなたの目に留まったのは、そんな麗しい特異性ではなく。
…彼女の、暗く淀んだ瞳だった。
まるで鏡をみているような。自分と同じ亡者の目。
「そうだ先輩。友達になりましょうよ。」
鏡の中の亡者が、甘い言葉を嘯く。
…誰かが言っていた。
疲れた時の判断は、往々にして間違っていると。
なら。彼女と結んだこの契りはいつか。
2人にとっての呪いになるのだろう。