シカ歴710年……
人々と獣人族の争いも今は昔…
共存共栄の道を選んだ我々は、恒久的平安(こうきゅうてきへいあん)の日々を歩んでいた。
シカ族のJKである私、吉城川つの子 (よしきがわつのこ)もまた、多くの種族が共存する学園に通っていた。
ヒト族と数多(あまた)の獣人族が一つ屋根の下の学び舎で、なごやかな日常を過ごす世界…
だが、しかし…!
今、我々は新たなる危機に直面していた。
そう…!空前のトナカイ、そしてサンタ不足である!
諸君らの愛するクリスマスは、いまや阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄絵図(じごくえず)へと変わり果てた!
なぜか!?
全ての国民、子どもたちが望むプレゼントを、寒風(かんぷう)吹きすさぶ凍てつく冬の日に、一夜にして配達するのはあまりに激務!
それに対し、得られる報酬はあまりに薄給!
サンタクロースの成り手が不足したとて、なんの不思議があろう!
この事態を放置し、建設的な改善施策を講じなかった、世界政府の罪はあまりに重い!
せめて、私が片想いしている男子の「可愛い彼女が欲しい」というささやかな願いくらい私が叶えてあげようじゃないか!!
そしてサンタ衣装を来たトナカイ(鹿)な私は、男子寮の彼の部屋にピッキングで忍び込み、クリスマス前にプレゼント(処女)を渡しに行くのだった……。