◆あらすじ
いつものように館の探索をしていた純麗と奏子。この日入った部屋には、霜が降りていました。
この部屋が特別に寒いわけでもなく、しかし床一面に霜がはっている不思議な部屋。
夏の中にあって冬を感じる部屋に、2人は幼いある日を思い出します――。
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――ここは『時を停めた館』だよ。
ここにいるあいだは、外の世界の――
みんなが元々いた世界の時間は、絶対に進まないの。
だから、外のことは気にしなくて大丈夫。
みんなが戻れば、世界は元通りに動き出すから。
そんなことより……
せっかくこういう場所に来たんだし、
ちょっとゆっくりしていってほしいな。
どうせ、しばらくここから出られないんだし。
ここ、不思議な館なんだよ?
どこまでも廊下が続くと思ったら、突然扉が出てきたり、
その扉もちょっと目を離したらいつのまにか消えてたり……
部屋の中も、なんか変なの。
普通じゃない部屋、いっぱいあるんだよ?
太陽も眩しくて、風も吹いてる、まるで外みたいな部屋とかね。
……まだ私が入ったことない部屋も、きっといっぱいある。
出口だって、もちろんあるよ?
でも、今のみんなは、見つけられない。
……すぐにはここから出ていけないの。
外は時間が停まってるし、
焦って出ていく必要もない。
だから――みんなで一緒に、遊ぼうよ。