祈る人、戦う人、耕す人――中世ユーロディアはこの3つに分けられる。
リトヴィア王国はユーロディアの中央東部の国。隣国に囲まれ、隣接する勢力に左右されてきた。
今もなお、2つの勢力に翻弄されている。
北西から北にかけて広がる巨大な迷宮の森に住む、ミノタウロス族の連合。
そして同じく北に隣接するアルメキア王国。
この数年、開墾事業の進展とともにリトヴィア王国は迷宮の森のミノタウロス族とのトラブルが増え、ミノタウロス族が国境付近の村や町へ襲撃をくり返している。
2年前に大軍を率いてミノタウロス族の討伐を試みたが、大敗。
協定締結後も、ミノタウロス族の侵入と掠奪は続いている。
北の隣国アルメキアと組んで再度討伐しようという動きもあるが、アルメキアの反応は鈍い。
アルメキアは聖十字教の国。
リトヴィアは東方十字教の国。アルメキアはリトヴィアが聖十字教に改宗すること、リトヴィアの女王がアルメキア王と結婚することを望んでいるが、もちろん、受け入れられるものではない。
ミノタウロス族の襲撃と掠奪は常にリトヴィアの国境付近の兵に打撃を与えており、国境付近の兵が減少。
国防に穴が開きつつある。平和税を実施して臣民から金を巻き上げ、ミノタウロス族から金で平和を――襲撃と掠奪の停止を――買い取るか。
あるいは兵を増強するのか。
リトヴィア女王は選択を迫られている。
だが、疫病の後だけに増員の目処は立っていない。
苦肉の策として、祈る人である修道士たちに対して、国境付近の修道院は各自で守備隊を整備し、ミノタウロス族の襲撃と掠奪に備えるように命令が発せられる。
その通達は、主人公アストルが所属するベレンシュ修道院にも届くのだった……。