―――マゾ男優の、関係者の皆様へ
怪しいタイトルのメール。
本文には、AV紹介ページのリンクが貼られていた。
見たこともない女優が飾る不審なパッケージ。
だが何よりも気を引いたのは、その女優に責められている男優が
俺の勤める会社の上司だったことだ。
どうしても気になって、俺はそのAVを購入してしまった。
作中で、上司はどういうわけか極端に射精を恐れていた。
まるで精液とともに大事な何かを失ってしまうかのように。
女優はそれを利用し、彼に限界を超えた我慢をさせながら崩壊へと導く。
それがこのAVの大まかな内容で、
気づけば、俺はその一部始終にくぎ付けになっていた。
なぜ俺にこんなものが送られてきたのか。
なぜ知人が出演しているのか。
なぜ彼はあんなにも苦しみ、あんなにも気持ち良さそうなのか。
なにひとつ、わからないまま。
結論を言えば―――
俺の人生は一変することになった。
AVを見るたびに犯される男優に対する憧れが強くなり、
定期的に送られてくる続編を待ち焦がれる日々が続き、
そして最後に、してはいけない決断をしてしまった。
君もこのAVを手に取る際は気を付けてほしい。
彼女たちは、もう探しているかも知れないのだから。
次のターゲット。
新たな、マゾ男優の候補者を。