■あらすじ
直面する問題から目をそらした二人のお話。
一人は、継母から。もう一人は、幼馴染から……。
男性だけでなく女性すら虜にする継母に恐怖し、自分の味方は、もういないと絶望した静香(しずか)は、学校に行くふりをして家を飛び出した。
幼馴染に幼馴染を盗られたショックで絶賛サボり中の野球部のエーズ、真(まこと)は、バス停でマネージャーの静香と出会う。
学校に行く気のない二人は、そのままサボって遠出する。しかしながら、サボった学生というのは、得てしてトラブルが付き纏う……。
紆余曲折ありまして、公園の休憩スペースで雨宿り、密室に二人きり。周りに誰もいない状況が静香の口を軽くする。
「寂しい」
継母が怖いと言いつつも、結局のところ彼女は、ただただ寂しかった。自身を見てくれる人が欲しかった。
飢えた心は体を求め、真に迫る。
濡れた体に透ける肌。
血気盛んなお年頃の彼には、彼女を振り切ることはできなかった。
体を重ねるごとに満たされていく心。幸せを感じるはずだった。しかし、人の欲は留まるところを知らない。嫉妬の心は、彼女に植え付けられた人格を呼び覚ます。
記憶にない継母との口には出せない映像が頭に浮かぶ、血の気が引いていくとともに、嗜虐心が隆起する。
椅子に縛られた真は、彼女を見上げてぽつりとつぶやく。
「静香だよな……」