■あらすじ
医療が発達した近未来。
人々の生存率は上がり、代わりに出生率は下がっていった。
政府はこのことを危惧し、
満29歳までの男女に限りセルフクローニングでクローンを作ることを認めると法令で定めた。
都心からやや離れた駅チカ賃貸マンションで、自営業(SE)として細々と食い繋ぎ自堕落に生きる主人公。
「このままだと結婚もできない。親も兄弟もおらず、一人で生きていくのは……なぁ」
だが鏡に映る姿は決して優れているとは言いがたい。
それに、女という生き物が面倒くさくて、一から理解し、わかり合えるまでのプロセスは大変面倒くさかった。
「俺のことをわかって、知って、連れ添ってくれる奴はいないのだろうか……そう、自分みたいな」
そう思えば行動は早かった。
政府公式のセルフクローニングで、軽い麻酔を宛てられスキャンに挑み眠りの狭間で、こう思う……。
「……クローンで俺(嫁)を作ればいいじゃないか」
そんな発案から現実になった、俺とオレの物語――