緋のない所に烟は立たない-緋修離と一蓮托生の女たち-

時代は現代、ところはT県奥志麻市。

開店休業中の緋EPC(奇々回避コンサルタント)の所長、緋修離(あけの・しゅり)のもう一つの顔は『かたり屋』である。
様々な危機や奇禍を『かたり』で避けさせ、舌先三寸の説法紛いから困難な事態の解決に到るまでを請け負って、言葉と語りで人に道を指し示す。

緋に仕事を持ち込んでくるのは、恩師の娘で半人前の探偵もどき、万条女桐子。
しかしながら、今回の依頼人は、とあるキッカケで拾った女、高賀津希。奥志麻に君臨する高賀家、その先代当主の孫娘だ。

津希は、骨肉相はむ跡目争いの渦中にいた。
強欲どもの醜悪な有様に肩を竦める緋に、津希は依頼する。

「どうか、祖父を捜して欲しい」

死者を捜せとは、一体何を意味しているのか―

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