歴史の果てまで、貫く忠義。
豊葦原瑞籬内皇国(とよあしはらのみずがきのうちのすめらみことのくに)──
通称《皇国》と呼ばれるこの国では、天津民とまつろわぬ民が争い合っていたという。
天津民は神に祈りを捧げ、神は娘の《緋彌之命(ひみのみこと)》を地上に遣わした。
緋彌之命は天津民を率い、三種(みくさ)の神器を用いてまつろわぬ民を封印する。
救世主となった緋彌之命は王に迎えられ、天津民は大いに繁栄した。
これが、豊葦原瑞籬内皇国のはじまりと言われている。
それから約2千年、皇国は緋彌之命の子孫が代々治めてきた。
長い歴史の中で幾度となく侵略に晒されながらも、国土は一度として汚されていない。
しかし、皇国の不敗神話は突如として終わりを迎えた。
皇国歴2173年、皇国はオルブライト共和国に敗戦を喫してしまう。
敗戦から3年経った今もなお、皇国民の怒りは皇都・天京に渦巻いていた。