豪邸建ち並ぶ閑静な住宅街に周りを囲まれたやや小高い丘の上にある「私立青葉学園」
私立青葉学園は、良家の令嬢・令息が多く通ういわゆる名門といわれ、
歴史ある由緒正しい学園として知られている。
「友愛・勤勉・純真」を校訓とし、古くからある校則を重んじる校風である。
この学園の卒業生である「藤島房江」は、数年前に国語教師として赴任してきた。
生真面目さと厳しさを見込まれ、生活指導の顧問を担当しており、
いわゆる融通の利かないお堅い先生として学生たちから煙たがられていた。
―そんなある日の放課後
ホームルームも終わり、いつも通り人気のない廊下を見回りをしていた房江は、
コソコソと怪しい挙動をとる一人の女子学生を発見する。
後を追った房江が覗き見た光景は―
誰もいないやや薄暗い教室で夫・義男と教え子・好美の唇を重ねる姿であった。
同じ学園の教師である義男と結婚して3年。
房江は肉体関係さえほとんど無かったものの、夫とはうまくいっていると思っていた―
それから房江は少しずつ変わり始める…