――人は誰もがウソをつく。
自分を守るための嘘。
自分を否定するための嘘。
自分を誤魔化すための嘘。
自分であり続けるための嘘。
嘘にも種類があって、誰もが嘘をつく理由を持っている。
理由は分からない。けど、嘘をついているのは分かる。
そんな中途半端な能力を持つ少年・櫻井宗一郎(さくらいそういちろう)。
しかし、その能力を得た代償は必要な訳で。
彼は能力を得た代償を支払うため、数々の依頼をこなし続けていく。
その結果、今では『学園一の問題児』と囁かれるまでになっていた。
そして月日は流れ――春。
出会いと別れが共存する、巡り合いの季節。
宗一郎は『学園一の美少女』ともてはやされる少女・姫野桜月(ひめのさつき)に呼び出される。
美女と野獣、そう評されてもおかしくない二人の立ち位置。
自分とは住む世界が違う――そんな風に宗一郎は思っていた。
――だけど。
緊張した面持ちのまま、桜月は自らの想いを告げる。
「好きです。あなたのことが……好きです」
『学園一の問題児』と『学園一の美少女』が織り成す、すれ違った恋模様(Passing Memories)――開幕。