俺、藤守要は幼い頃、騎士に命を救われたことがある。
火の赤と瓦礫が辺り一面に広がったあの日。
何でもできると思っていた万能感が、無力な自分という現実の前に崩れ落ちたあの日。
だけど、俺の心に焼きついたのは絶望ではなく、俺を助けてくれた騎士の姿だった。
あの日、俺は誓った──
いつか『誰よりも多く、大勢の人を守れる騎士になる』と。
時は流れ、今日。
騎士育成の専門校である『白宮学園』に俺は入学する。
学園で俺を待っていたのは、ある騎士団への入団だった。
白宮従騎士団『エスクワイア』──
なんでも学生の騎士団登用を見直すための試験騎士団らしい。
そして共に生活し、騎士団として活動する仲間達。
キラキラと輝く金の髪が目を引く、綺麗な剣筋の持ち主、エルシア=ハーヴェンス。
明るく元気で、いきなり飛び掛ってきた貧乏娘、風間明莉。
いつでもお嫁に行けそうな家庭的スキルを持つ大企業グループの社長令嬢、獅堂真奈。
飛び級までした完璧超人な自慢の妹、藤守由宇。
そして騎士団長であり、学園の3年生でもあるおっとりお姉さん、国中佳織。
……
……あれ、女しかいないんだけど?
どういうことですか、学長? は? 男は俺1人……!?
大丈夫だよな……大丈夫……だといいなぁ。
何はともあれ。
先行きの不安を残しながらも、こうして俺は騎士としての第一歩を踏み出した──