究極の格差がこの惑星――地球を取り巻く現実。
行き着くところまで貧富の差が広がり、天然資源は枯渇して久しい。
荒廃した地上には、天を仰ぎ、恵みを乞うことしか出来ない人間たちが溢れていた。
どんなに祈ったところで、救いの手を差し伸べられることはない。
それが、神の絶えた世界の道理。
しかしこの世界には、神に代わり救いの手を差し伸べる者が存在する。
天空に浮かぶ真白の天体、『Caelum Urbs(カエルム・ウルブス)』
『空の街』と名付けられた天上界。その住人は『天上人』と呼ばれていた。
カエルム・ウルブスは地上とは違い、すべてが手に入り、医療科学の発達により、死の概念が無くなった人間達が暮らしている。
地上の人々は天上に住むことに憧れ、天上界に住んでいる人間を信仰の対象とした者達は口々に言う。
『チャンスは天上から落ちてくるもの……』
――チャンス。
天上界を語る者たちの間で、まことしやかに語られている噂がある。
それは、カエルム・ウルブスで行われている『Closed GAME』と呼ばれるゲームに参加し、それに生き残った者は天上人になれると……。
地上の人々は今日も待っている。天上から落ちてくるものを――