男なら当然彼女は欲しい。
ドキドキしたい。
昔から人一倍『恋』というものに憧れていた俺は、
今の漠然と時間を浪費するだけのつまらない毎日に飽き飽きしていた。
‘俺だってエロゲみたいな恋がしてみたい’
そう言うと周りは現実を見ろだとか、俺の頭がおかしいと馬鹿にする。
だがそれが男の本音だろ?
そこに憧れるのは悪い事なのか!?
相も変わらずそんな疑問を抱える俺に、この冬ちょっとした転機が訪れる。
『あなた、私の店でバイトしてみる気ない?』
そこは大通りを一本中へ入った場所にある、女性に人気の一軒のベーカリーレストラン。
それまで自分とは無縁の世界だと思っていた場所に身を置くことで、
俺は今の日常から脱却してみようと考えた。
自分の恋には興味のない幼馴染。
仕事が恋人のお姉さん。
恋より家族が大事な女の子。
理想の相手が見つからない後輩。
恋なんてまだ先の話だと思っている年下のいとこ。
11月の中旬、ひょんなことから新しいバイト先で仕事を始めた俺は、
ついに待ちに待った自分の恋と向き合うことになった。