主人公「泉戸裕理」は八衢神社の一人息子。
バイクや自動車いじりが好きで、一級整備士か設計開発の仕事に就きたいと考えているが、
実家である神社のことでも迷っていて、まだ明確な目標にはなっていない。
定まらない将来に漠たる不安を抱きながらも、友人の河合アメリや要三九郎らと共に創聖学院での学院生活を謳歌していた。
そんな彼が最上級生になる、春休みのこと。
学院で行われていたグラウンド拡張工事の際、奇妙な遺跡が出土する。
偶然その場に居合わせた裕理は一人、全く違う方向でこの遺跡に興味を抱く。
これまで実家の神社でしか見たことのなかった一風変わった文様が、その遺跡にも刻まれていたからである。
八衢神社には「たゆたゆ様」と呼ばれる神様の伝説があった。
それは周辺地域一帯の守護神だとされるが、粗末に扱えばとんでもない災いをもたらすというもの。
出土した遺跡にも「太転依」と読める文字が彫り込まれている。
さらに、遺跡一帯で飛び回る小さな小さな物の怪までも発見してしまう。
裕理、アメリ、三九郎は、出土した遺跡の扱いを間違えれば大変なことになるのではないかと危惧するも、
神主の父親ですら迷信だと一蹴、担任教師や学院の理事なども取り合ってくれない。
やがて、遺跡に対する科学鑑定の結果が出る。
「学術的には無価値。」
ただ、価値があろうとなかろうと遺跡は遺跡。
破壊するか移転するかについての結論はいまだ検討の余地を残していたが、とにかく工事は続行されることになった。
新学期の始まりまでにグラウンドの拡張工事は終了するというスケジュールは不変。
これに危機感を覚えた裕理は、夜、アメリや三九郎と共にひそかに学院に忍び込み、御魂移しを行おうとする。
遺跡が破壊されようと何だろうと、そこに宿る神様には失礼のないようにという、
神社の一人息子らしい裕理の発想だった。
しかしこの儀式によって、本当に神様らしきものが現れてしまう。
その高貴な佇まいに威厳すら感じさせるそれは、古めかしい口調で裕理に滔々と語り始める。
この地に封じられた、太転依(たゆたい)という物の怪たちの物語を──。
そして迎えた、始業式の日。
あの夜、学校に忍び込んでいたことについて、フローレスの生徒会長「如月美冬」に追及されながら、
裕理は、昨夜の不思議な出来事を気に掛けていた。
美冬の追及をなんとかはぐらかして帰宅した裕理の前に、同い年くらいの若い娘が現れる。
突如現れた少女に戸惑う裕理を更に驚かせたのは、直後に彼女がいきなり言い放った一言だった──。
「さあ、五百年越しの夢を叶える時です! 人間と太転依が共存できる新しい世の中を<私たち夫婦で>切り開きましょう!」
謎の少女「ましろ」の登場により、風雲急を告げる裕理の学園生活。
幼馴染のアメリは嫉妬で拗ねてごねまくり、三九郎は何の役にも立ちゃしない。
妹同然に育ったはずのゆみなには、ましろとの仲を誤解されて嫌われて、
美冬には猜疑心満載の視線を向けられ追い掛け回される。
そして当のましろは空気も読まずにベタベタしっぱなし。
彼女は一体何者なのか?
そもそも太転依って何なんだ?
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